イントロ
フランス南東部、シャトーヌフ・デュ・パプ。シストや石灰岩、丸いガレ(礫石)が織り成す土壌、ミストラルがもたらす乾いた風、地中海性気候の明瞭な季節感・・・。
この土地は、赤ワインの滋味をじっくり育む条件がそろう、フランス屈指の銘醸地。そんな恵まれた環境の中で、クルテゾン(Courthézon)に根を張る「シャトー・デュ・ムール・デュ・タンドル」は、ひときわ個性のある家族経営ドメーヌです。
このシャトーは、19世紀末から続くパウメル(Paumel)家の家業として発展してきて、現在は、2013年に家業を継いだポール・パウメルが7代目としてワイン造りの指揮を執ります。
祖父ジャック・パウメルのそばで学んだ「畑に寄り添い、ブドウの声を聴く」という信条を、醸造設備の近代化やレンジ拡張といった実務面でアップデートしつつ体現しています。
畑はクルテゾンの小高い丘陵に広がり、風通しの良さと排水性に優れた土壌が健全なブドウを育てています。ローヌ南部ならではのガレは昼の熱を蓄え、夜にゆっくりと放熱することで果実の熟度を高め、石灰質は骨格とミネラル感を与えます。祖父ジャックの代から続く「畑に寄り添う」哲学は、殺虫剤を使わない方針に象徴され、自然と畑を尊ぶ姿勢が、ワインの澄んだ果実味と落ち着いた質感に直結しています。現在はフランス農業における環境認証制度の最上位HVE認証を取得しています。
また、オランジェの街中にはワインバーや直営ブティック、ワイナリーの隣には宿泊施設といった“体験の場”を充実させているのも、家族が紡ぐ物語をお客様やゲストと分かち合うための工夫だとポールは語ります。